富山大学と中日本高速道路金沢支社は,北陸地域の活性化に向けて連携する,“沿道地域との連携による新たな価値創造”プロジェクトに係る連携協力に関する覚書を締結した。富山大学五福キャンパスでおこなわれた締結式では,富山大学の鈴木基史地域連携推進機構長,中日本高速道路金沢支社の久保田修支社長はじめ,大学・企業関係者・報道関係者等が参加するなかおこなわれた。
富山大学金岡室長から「近年,富山大学は地域と連携するプロジェクトを動かし,地域との連携を強化している。同時に地域で活躍している方から学生へ講義をしてもらうことで、学生の地域定着意識・地域就職意識を向上させ,良い循環をつくり始めている。学生意識を変え,人口減少の歯止めをすることを目標とし,地域との連携をすべて教育と連携させ大学の特徴をつくりだしている。新たにNEXCO中日本さんとCSV・新しい地方創生を組んでいく形となった。こういった動きは全国的にも少ない」と報告。
中日本高速道路小杉部長から,高速道路を取り巻く環境の変化を説明し,「高速道路ネットワークの効果を次世代に繋がる新たな価値へ拡げていくこと」が重要な使命と話し,経営方針の一つに「社会・経済の変化も見据えた地域活性化への貢献」を設定し,地域との連携による地域が抱える課題の解決や地域活性化に貢献している取組を展開していると,これまで取り組んだ事業展開事例を詳しく紹介した。
これまでの地域連携は,地域のステークホルダーとコミュニケーションを密にし,地域との更なる信頼関係を構築することで連携を推進しており,北陸での更なる連携強化として富山大学へ連携を申し入れたと経緯を説明。「富山大学との連携で大学の知見やネットワークを活用し,地域との信頼関係がさらに深まり,新たな「地域との連携」の取組が自然発生的に生み出されていく,信頼の循環・新たな価値創造のサイクルを構築させていきたい」と報告した。
久保田支社長と鈴木機構長が覚書書面にそれぞれ署名をおこない,連携協力に関する覚書の締結を完了した。
締結した覚書を手にした両者の記念写真と報道写真の撮影がおこなわれ,お互いに握手を交わし連携を確認した。
弊社は高速道路ネットワークの建設と管理をおこなっているが,大きな特徴は,沿線地域と共存共栄関係にあることがあげられる。地域の方の利便性・アクセス性を高めるためにスマートインターチェンジを設置したりなど,安全性・定時性を高め、地域の方が使いやすい高速道路づくりを続けている。
ソフト面では,ETC割引と組み合わせたドライブプランの企画など利用者に受け入れてもらえるプランに取り組んでいる。北陸は一次交通より二次交通の課題があるので,車観光の促進の面からも高速道路の役割は大きくなっている。また高速道路外からも利用できる複合商業施設の運営など地域との繋がりを深める取組を始めている。
民営化から12年,その間いろいろな方と地域活性化に取り組んできたが,多面的な切り口・アプローチで取組み,様々な方が集まって,新しい価値を生み出し課題解決していくことが必要と感じている。その中で地域の知が集積している大学,特に先進的な取組をしている富山大学のノウハウ・実績を参考にして,高速道路会社として新たな地域貢献,高速道路の新しい価値創造を考えて取り組んでいきたい。
この締結を機に,富山県・北陸地方の地域活性の一助になればと取り組んでいる。
富山大学のノウハウを展開し,地域活性化の拠点として役割を果たしたいと思っている。各地域・自治体との間で人材育成プロジェクトや地域イノベーション開発といった活動をしてきた。
今回,人材育成プロジェクトである魚津三太郎塾,及びそこからのスピンオフ事業である新川創世プロジェクトにおける新たな展開としてNEXCO中日本の協力により,スマートインターチェンジやサービスエリアを利用して新たな価値創造の提案が実現ができたらいいと考えている。ビジネスプランは,企業側の思いだけでは成功しない。地域で何ができるのか,地域のプレイヤーで何ができるのか一緒になってプランを立てること,両者がWinWinの関係になる共通価値を創造していき,他の地域へも展開していくことが一番良い。富山大学の地域創生で大切にしている言葉は「信頼の循環」で,地域との信頼の醸成がなければ何事も血が通わなくなる。ハード面だけでなく地元の理解があって利用する意義を持つ。信頼の循環が地域で出来ていければ高速道路の地元の新しい利用が生まれてくる。
それにより高速道路の活用の仕方が変わってくる。それが色々なところへ波及効果としてでてくればと思っている。知恵を絞り,色々な人を巻き込みながら新たにCSV・共通価値を生み出せたらいいと思う。